米津玄師の”Lemon”から考える、ヒット曲の共通性まとめ。

MUSIC

老若男女が聴いて涙する曲の深奥に迫ります。

本日も創音においでいただき、ありがとうございます。
On-Suke(0n_Suke)です。

仕事始めの日に有給休暇を取ったことでいまだに実家でダラダラしている僕ですが、そのリビングでは年末年始に母が録りためた「アンナチュラル」が流れています。

そのアンナチュラルの主題歌として、米津玄師によって書き下ろされた「Lemon」。

歴史的なモンスターソング

史上初のミリオン達成

僕は今までアンナチュラルを観ておらず、実家でも途中の話から観始めたので話の内容はさっぱりですが、クライマックスシーンで流れるLemonを聴くと、映像との相乗効果で胸がグッと熱くなります。

そんな米津玄師のLemon、オリコン年間デジタルシングルランキングで179.7万DLを達成し堂々の1位を獲得するほどの人気ぶり。デジタルシングル史上初のミリオン達成だそうです。

歌う人たちにも大人気

Lemonはただ聴いて楽しむだけではとどまらないほどの人気を博しており、カラオケでも多くの人からの支持を得ています。

4/2に週間カラオケランキングで初めて1位になってから、毎週1位を更新し続け、最新12/24付では歴代5位タイとなる39週連続の1位を記録しているほどのモンスターソングです。

参考:【オリコン年間】米津玄師「Lemon」、年間デジタルSG首位 170万超えの大ヒットも「他人事のような気持ち」(オリコンニュースより)

Lemonから考えるヒット曲の要素。

さてさて、ドラマの効果もあるとはいえ、僕のようにアンナチュラルを観ていない人の心すら鷲掴みにするこのLemon。一体何がこの曲にそれほどの魅力を持たせるのでしょうか。

どうやら同じ疑問を持つ人は世の中に結構いるようで、すでに多くの人が語っています。今回はLemonがヒットした要素をいろいろな切り口から考えてみます。

1. 楽曲的要素

まずは音楽的な構造から読み解いて行きます。

聴いてわかる通り、Lemonのサビは16分が織り混ざった高低差の大きいフレーズになっています。

近年の人気曲は、(一昔前ほどではないけど)言葉を詰め込む傾向が強く、必然的に音の粒が細かくなるのは理解できます。

高音部での大きな跳躍は、あのMr.Childrenもよくとる手法です。

Lemonも「あなたとともに」のところで音が一気に高くなりますよね。この幅が、聴く人の感情の昂りと絶妙にリンクするのです。

そして、これはLemonだけではなく、米津玄師のヒット曲の多くに共通するのですが、サビの始まりがサブドミナント・コード(第4音を中心としたコード)であることも重要。サブドミナントは、不安を感じさせるコードで、どこかへ収束しようとする雰囲気を持ちます。このコードから始まることで、サビの盛り上がりに一層の彩りが加えられるのですね。

参考:米津玄師の楽曲はなぜ何度も聴きたくなる? 「打上花火」や「Lemon」などの楽曲構造から紐解く(Real Soundより)

2. 歌詞的要素

歌詞の内容でいうと、恋人を亡くした曲のように思えますが、インタビューによれば米津さんは制作途中に御祖父を亡くされており、結果的に「あなたがいなくて寂しい」ことを歌った曲であると語っています。

Lemonの歌詞については実にいろいろな解釈がなされていますが、僕が一番「なるほど」と思ったのはこのサイトの解釈。

参考:米津玄師『Lemon』深読み〜歌詞の意味と考察〜死者と生者の対称性〜(Sugar&Salt Musicより)

生きている者から死んだ者への一方的なメッセージではなく、鏡のように対照的な「あなた」と「わたし」が互いに語りかけるという解釈は、2番の歌詞の途中の

何をしていたの 何を見ていたの
わたしの知らない横顔で

どこかであなたが今 わたしと同じ様な
涙にくれ 淋しさの中にいるなら
わたしのことなどどうか 忘れてください
そんなことを心から願うほどに
今でもあなたはわたしの光
(米津玄師 ”Lemon”より)

の部分から大いに納得がいきます。思い合う2人の言葉が、死別の悲しみを強くリスナーに訴えかけるのでしょう。

3. 映像的要素

実家でアンナチュラルを観たのは数話だけですが、Lemonの歌が流れ始めるのは大体クライマックスだったり、人が死んだりする(または死にかける)ようなインパクトの強いシーンだったように思います。

そこで「夢ならばどれほどよかったでしょう」という言葉から始まるLemonのメロディが流れて、果たして心の琴線に触れない人がいるでしょうか。

また、MVで米津玄師本人がハイヒールを履いているのが話題になった時期もありましたね。あれは「“二人にしかわからない何か”を表現したかった」と米津さんがインタビューで語っています。

米津玄師 MV「Lemon」

一見「?」と疑問符を浮かべるような謎めいたところも、Lemonの魅力なのかもしれません。

参考:米津玄師が「Lemon」に込めた想いとは? ドラマ『アンナチュラル』と特別ネット番組から紐解く(Real Soundより)

大衆に受け入れられるのには、相応の理由がある

いかがだったでしょうか。

今まで米津玄師をあまり聴かなかった僕ですら虜になっているLemon。

オリコンチャートを席巻するようなキラキラさを一切含まないのにこれだけ多くの人に受け入れられるのは、やはりそれなりの要因があるのですね。

「いい曲」と認めてもらうために込められたクリエイターの数えきれない意図と工夫に、経緯を送らずにはいられません。米津さん、本当にすごい方ですね。

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