優しさと狂気、今年も兼ね備えています。
本日も創音においでいただき、ありがとうございます。 On-Suke(0n_Suke)です。
10月3日に発売した、3年4ヶ月ぶりのMr.Childrenの新アルバム「重力と呼吸」を入手し、1週間聴き続けました。
あいも変わらず名作揃いのミスチル。重力と呼吸について、そしてその中から特におすすめしたい5曲を紹介していきます。
直球勝負
もともと幼いときからMr.Childrenは好き…だったのですが、僕は曲によって好き嫌いが激しかったです。
世でよく使われるロー〜ミドルテンポのバラードよりは、ニシエヒガシエとかフェイク、REM等といったロック要素の強い曲が、僕には非常にマッチングしていました。
それらの共通点は、おそらく4人のサウンドが全面に出ているということ。
ミスチルの多くの曲はストリングスやホーン、打ち込み等のサウンドが多層的に重なり、かなり重厚なサウンドになっていますが、今作は今までと比べてけっこうシンプルになっています。
それは、今回彼らが意識していたところで、
4人だけのダイナミクスで表現の幅を増やす(YAHOO!ニュースより)
というのが念頭にあったようです。全体的にドラムのダイナミクスが強調されているのも、そのためみたいですね。
前作「REFLECTION」が様々な顔をもつ23もの曲を収録したのに対して、「重力と呼吸」は10曲のストレートな顔ぶれ。ロックバンドとしてのMr.Childrenをゴリ押ししています。
個人的におすすめしたい5曲。
ではでは、今作の10曲から特におすすめしたい5曲を、収録順に紹介していきます。
Your Song
ゆったりとしたビートに乗る壮大なサウンドが印象的なナンバー。
他の誰でもない「君」だからこそ、日々のありとあらゆることが特別であることを歌っています。
恋人を歌った曲が多いミスチルですが、恋模様とは断定できない情景を描くことにより、「君」の存在が誰であるかを聴き手に委ねているところがいいですね。
それがやっぱり恋人であるかもしれないし、大切な親友かもしれない。はたまた親や我が子といった家族かもしれない。
「君」が誰を指すのかは、私たちしだい。だから「Your Song」というタイトルなのかもしれないですね。
サウンドは、田原さんのギターがけっこう前に押し出されているのがポイント。ストリングスが控えめなのが大きな要因となっていると思います。
間奏ではっきりしたメロディーラインはないものの、フロントピックアップから奏でられるアルペジオが心地よく響いています。
イントロ、アウトロで遠くから聞こえるボーカルのシャウトが、優しさと衝動を兼ね備えるミスチルらしさをしっかり表現しているのもGOOD。
海にて、心は裸になりたがる
タイトルからしてサマーソングかなと思いきや、ここでいう「海」は海そのものではないことが、歌詞からわかります。
重箱の隅をつつく人
その揚げ足をとろうとしてる人
画面の表層に軽く触れて
似たような毒を吐く可愛げのないあなたにも
注目されたいあなたにも
きっと世界はあなたに会いたがっているよ
今心は裸になりたがっているよ
(Mr.Children 「重力と呼吸」より)
海…それは海でも「ネットの海」だということが、歌詞から推測することができるのです。
つまり、ネット社会である今を皮肉った曲なのかなと、個人的には思います。
この曲で一押しなのは、ナカケーのベースサウンド。普段主張の強い音作りではない彼の、あまり聴くことのできないゴリゴリベースを聴くことができます。
addiction
人間の内にこめられた欲望や衝動を止めることはできず、それは何度も、それも中毒(=addiction)のように繰り返される、そんな曲なのかな?
歌詞というよりは、ダークなサウンドが非常に好みでした。
サビに近づいていくにつれてが声色が荒くなり、まるで初めは平静を装うとしていたものの、だんだんと本能がむき出しになっていき、狂気に染まっていくよう。
また、これもYour Songのように、大サビでメインボーカルの裏で長いシャウトが入っていて、抑えきれない欲望や衝動が体から溢れ出てしまっているようなイメージが伝わってきました。
day by day(愛犬クルの物語)
※画像はイメージです。本物のクルではありません。
可愛らしいタイトルとは裏腹に、とても骨太で陽気なロックサウンドのナンバー。
そして裏腹なのは、サウンドだけではありません。この曲の歌詞…飼い主が亡くなった犬のことを描いているのです。
そして、飼い主が亡くなった後も日々(=day by day)その帰りを待ち続けるという、なんともかわいそうな曲なんですね。
それをあえて明るいサウンドで奏でることで、無邪気に、そして無垢に飼い主を待ち続けるクルの切ない姿が、より鮮烈に映るんだと、僕は思います。
安易にマイナー調にせず、あえて悲しさを底抜けに明るい調子で歌いきることで際立たせる…。さすがです。
himawari
昨年上映された「君の膵臓を食べたい」のテーマ曲。
シングルとして既に出ていた曲でしたが、アルバムの中でもこの曲が僕の中ではベスト1でした。
当たり前なことなんですが、映画の内容と本当にマッチしているんですよ、歌詞もサウンドも。数多くのタイアップをしてきた彼らに、やはり隙はありませんでした。
いろいろなインタビューを読んで、改めて聴いてみると、なるほどこの曲もギターサウンドがかなり前に出ています。Your Song同様、ストリングスやピアノは後ろの方で鳴っている印象。
バラードといえばバラードなのですが、ポップス寄りではなくしっかりロックバラードであることが感じられるオーバードライブの音。
それがJENの持ち前の力強いドラムと絡み合い、熱量溢れる1曲に仕上がっています。
「ロックバンド・Mr.Children」ということを再認識する1枚
世間で流れるミスチルの曲が好きなリスナーは、もしかしたら今までの作品と毛色が異なる重力と呼吸に対してコレジャナイ感がするかもしれません。
でも、Mr.Childrenはロックバンドとして25年以上続いて来た、これは紛れもない事実です。そして、4人でずっと続いて来たこともまた事実。
幅広い表現力を持ち、色彩豊かな曲を生み出して来た彼らですが、今作は、「Mr.Childrenは4人組のロックバンドである」ことを、私たちに改めて教えてくれる1枚であったと、僕は思います。
そして、そんな彼らのツアーライブに、運良く抽選で当選したので明日仙台に行って来ます!楽しみだぜヒャッフーウ!