ストレイテナーを知りたいなら、今の曲から入らないほうがいい。

MUSIC

大ファンだったんだけどなあ。

本日も創音においでいただき、ありがとうございます。
On-Suke(0n_Suke)です。

昨年ACIDMANが結成20周年を迎え、フェスを始めとするさまざまな記念活動をしてきましたが、そんな彼らが「戦友」と呼ぶバンド、ストレイテナーが、同じく今年結成20周年を迎えました。

今年の秋にファンの投票によって収録曲を決めるベストアルバムの発売がすでに決定しており、最近では、TVアニメ「アンゴルモア元寇合戦記」の主題歌になったデジタル配信シングル、「Braver」が出ています。

ストレイテナー「Braver」MUSIC VIDEO(Short ver.)

20年も経てば、サウンドも変わります。ましてや、ストレイテナーは2人体制から始まり、ベース、ギターが加わるごとに表現の幅の広がりとともに多面的なアプローチを試みてきたバンドです。

それでも、「ロックバンド」という芯はブレてこなかった、だから僕もずっとついてこれたのですが、最近のテナーはどうも馴染まない。

ロックな要素が薄すぎる

僕は、3rdアルバム「Dear Deadman」が出たときにテナーを知りましたが、少なくともその頃のテナーは尖ってた。確かにピアノやシンセの音はその頃から導入されていましたが、基本的にはロックを基調としており、必ず衝動性を含んでいた。そんな気がします。

ホリエアツシの少々お粗末なギターサウンドとバッキバキのひなっちサウンド、狂戦士のようにぶっ叩くナカヤマシンペイのドラミング。3人のころはとにかく勢いがあった。拙くても、そこにいる者すべてを、否が応でも熱狂に巻き込む勢いが。

そしてそこに秩序と静かな熱情を込めたOJのリードギターが加わります。OJの加入によって勢いで突っ走っていたストレイテナーに「理性」が加わります。計算された熱情、とでもいいましょうか。このころから「オシャレイテナー」と揶揄されるようにもなりましたが、僕から見たら、あくまでストレイテナーは「ロック」の路線を進んでいて、オシャレな中にもダサさや泥臭さが隠れ残れている印象でした。だからこそ、かっこよかったんだ。

しかし、それもだんだん外れてきた気がする。この前、フジロックの中継を観たとき、その中で演じていたストレイテナーは僕のリスペクトしていたストレイテナーとはどこか違い、記事を書かずにはいられませんでした。何が違うんだろう。

サウンドに衝動性が失われている

今年の5月に新アルバム「Future Soundtrack」がすでに出ていますが、昔のような攻撃的な曲は皆無と言っていいでしょう。

ところどころで出されていたシングル曲も、すべてミドルテンポ。「月に読む手紙」や「Boy Friend」なんて、恋人を歌った曲という、なんともまぁ娑婆い歌!肝心のサウンドも、全体的にキラキラしてるんですよね。OJのギターも、ひなっちのスラップも、とても丸い音。耳に優しいことは確かなのですが、その分どこか空洞がある、物足りない感覚を覚えます。

一番がっかりしたのは、シングルとして出された「The Future is Now」。

ストレイテナー – The Future Is Now

なんすかこのピコピコ感!いや、いいよ!?爽やかさが溢れていて、全く聞き疲れしないですよ!?ただ、これ、これ…!

 

ロックバンドなのか!?

 

シンセ音と生音を半々の割合で入れたとかどっかのインタビューで答えていたみたいですが、これ、テナーじゃなければ作れなかった曲なのか!?テナーじゃなきゃダメなのか!?この1曲通してずっと同じテンションで聴けてしまう平凡感。サビを迎えても大して心のボルテージが上がらない物足りなさはロックと言っていいのか!?唯一良いなと思ったのは最後のOur Landのみ。新しい曲が出るたび、どうも盛り上がりに欠けてしまってガッカリしています。

CDでこれだけ電子音やシンセを入れてしまうと、サポートやMIDIを入れない限り、ライブではもっと音が薄くなるのでガッカリ感が倍増するんですよね…。ライブ映えしない大きな一因だと思います。

ホリエの歌い方が変わっている

曲の印象で大きな部分を占めるのはやはりボーカルの声でしょうが、その声が、というより歌い方が変わってきている気がします。

ストレイテナー – BIRTHDAY -LIVE Ver.-
ストレイテナー – Hitsunomure wa Oka wo Noboru (羊の群れは丘を登る) [Live] Step Into My World TOUR 2016

1つ目の動画は、2007年に発売されたLINEARのアルバムツアー、2つ目は2016年に発売されたCOLD DISCのアルバムツアー。

比較して大きく2つの違いが感じられます。1つ目は、声の勢いがなくなっていること。2つ目は、だんだん歌い方がねちっこくなっていること。きっと、昔と比べて高音が力まずに出るようになったからだと思います。明らかに音域広がりましたもん、ホリエさん。その分、多才な表現ができるようになったのは確かなのですが、個人的には昔の透明感ある声の方が好きだったし、この前の中継を見ていても、どうもヌケが悪いなあと思いました。あ、でも、かなり高い声は絶対今の方がきれいです。これはこれで好きなんですけどね(笑)

初めての人におすすめするならこの2枚

とはいえど、テナーが素晴らしいバンドであることには変わらないんですよ。「ロックであるかどうか」という定規で測ったときに、どうなの?と思うだけなのです。荒々しさが失われた分、壮大なスケール感を描くことが、最近のテナーはかなり上手い。

でも、やっぱり僕の中では、テナーはロックバンドであってほしいんですよ。ですから、初めてテナーを聴く人におすすめするなら、僕ならこの2枚をおすすめします。

あ、やっぱ2人時代や3人時代が一番でしょ!とか、そんな懐古主義ではないので、ここでは今の4人体制になってからの作品にしぼりますね。

Resplendent

異なる顔を持つ5曲が集まったミニアルバム。4人体制になってから、最も荒々しい1枚だと思います。ロックにファンク等、曲によってジャンルが全く違うものの、ほとんどの曲に込められている激情は計り知れないものがある。

最後の「WISH I COULD FORGET」で優しさに包まれて終わるという構成もまたGOOD。

ストレイテナー – シンデレラソング
ストレイテナー – BLACK DYED

Behind The Scene

僕の中での、テナー最高傑作。シンセサウンドとギターサウンドが、最も良いバランスで成り立っている1枚です。けっこういろんな曲でシンセ入れられているんですけど、それを前面に押し出さない絶妙なアレンジがすばらしい。

「冬の太陽」は本当に名作。シンセで凍結した感じを醸し出し、ギターロックサウンドでエモさを全開させている。この頃のテナーは本当に最強でしたありがとうございました。

ストレイテナー – 冬の太陽 (Dir:須永秀明)
ストレイテナー – The World Record (Dir:小嶋貴之)

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