LAMP IN TERRENの新アルバム「fantasia」でおすすめしたい5曲。

BEST 5シリーズ

アルバムごとに色も質も良くなってきています。

本日も創音においでいただき、ありがとうございます。
On-Suke(0n_Suke)です。
年度末に異動となりまして、引っ越しと仕事に慣れるのに必死で、久々の更新となってしまいました。

そんな忙しい毎日の中、最も多く聴いていた、LAMP IN TERRENの新アルバム「fantasia」から、特におすすめな5曲を紹介したいと思います。

きっかけは緑閃光のMV

LAMP IN TERRENに出会ったのは、YouTubeで「緑閃光」という曲が「あなたにおすすめ」のところにしょっちゅう出てきたことがきっかけでした。何度も出てくるので試しにクリックしたら思わぬ名曲に出会ったのです。

LAMP IN TERREN「緑閃光」Music Video

ものすごい哀愁感。心から漏れ出す感じのボーカルの少し掠れた声もまた絶妙です。それから速攻でTSUTAYAでCDを借りたのを覚えています。

LAMP IN TERRENの面白いところは、アルバムごとに曲のキャラクターが変わる印象を受けるのですが、決して不快ではないこと。バンドでは、方向性が変わるとけっこう拒絶反応を起こすファンが多い(と思う)のですが、LAMP IN TERRENは新曲を出してもそういうことが起こりにくいのです。ですから、毎回アルバムが出るたびに今度はどんな世界が待っているんだろうと、そういうわくわくな気持ちにさせてくれます。

LAMP IN TERREN 「メイ」Music Video

この「メイ」は緑閃光と違うアルバムに収録されていて、やっぱり受ける印象は大きく違いますが、それでも言葉で表せない「テレンらしさ」があるからすんなりと受け入れられるのでしょうね。

fantasiaは、「プロ」としての実力を感じたアルバム

ここまでべた褒めしておきながらあれですが、それでも僕の中では「よくいるバンド」の中の一つの認識でした。緑閃光がどんなに良い曲だと感じても、それっぽい曲は他にいくらでもありますし(個人的にはLOST IN TIMEによく似ているなあと思いました)、実はアルバム「silver lining」「LIFE PROBE」共に数周聴いたところで終わっちゃったんです。

ですが、fantasiaは違いました。一つ一つの曲に強い個性があります。キャラバンのように王道バンドサウンドな曲があれば、地球儀のような打ち込みが入ったキラキラした曲、オフコースのようにカントリー感のある曲など、ちゃんとキャラクターが独立している。だから、飛ばす曲がない。稚拙な表現ですが、「ものすごく良くなった」というのが、率直な感想です。吐き捨てるほどいるバンドの群れから抜きんでた存在感、プロとしての気概を強く感じました。

個人的に強くおすすめしたい5曲。

ではでは、ここからその個性豊かな12曲から特におすすめしたい5曲を紹介していきます。

1.地球儀

LAMP IN TERREN「地球儀」Music Video

アルバム曲でありながらもMV化された1曲。イントロから鳴り続ける打ち込みが、今までのテレンとは一線を画す、新しいサウンドだなあと思いました。

そして、何よりも歌詞の中身がとても共感できたのが大きいです。

空想の中に居ても具現化できずに
頭の中にある内にくたばっていく
そうなる前に無理矢理にでも引っ張っていこう
求められたいと思ったんだ
空き地を埋めるだけが居場所じゃないんだ
(LAMP IN TERREN 「地球儀」より)

やりたいことは頭の中にたくさんあるけれど、実行に移すのって数えるくらいしかなくて、それ以外は全て自分の頭の中の空想で終わってしまうじゃないですか。
数多の夢がくたばる中で行動に移したものって、少なからず誰かに見られたいとか、必要とされたいとか、そういう「認められたい」という気持ちがあると思うんですよね。日常で抱える思いが、強く表れた曲だなと思います。サビ途中に入るコーラスもGOOD。

2.heartbeat

LAMP IN TERREN「heartbeat」Music Video

ライブ会場限定でリリースされたシングル曲で、今アルバムの中で一番好きです。サウンドも然りですが、これも歌詞が良かった。

自分と「君」の関係を歌った曲で、互いに全てを知ることはできない不完全さを認めながらもわかり合いたい、光として照らしたいという、人間の心がもつ優しさ、不完全さがキラキラしたギターリフ、それと対照的なバックバンドの音で見事に表現されていると思います。ボーカルの叫ぶような声も、「君」に聞こえているかを問いかけているようでヒリヒリします。

3.innocence

LAMP IN TERREN 劇場2部「亜人 -衝突-」主題歌「innocence」

「亜人」という映画の主題曲になったそうですが、それを抜きにしても素晴らしい曲。

自分の生きてきた足跡に正解を問うことが無為なことはわかっているけれど、それでも「これでよかったのか?」と疑問に思うことありませんか?
あの時、違う選択をしていたらもっと良い人生を、生活を送れていただろうか、今の選択で人生の終わりは幸せなものだろうか?正解なんてないし、それが誤りだったとしても取り返しがつかないのも百も承知なのですが、それでも問いかける、答えがわからないまま今という運命を受け入れて未来へ歩いていかなければならないという人間の性を歌った曲。

ピアノががっつり入っていて、これも今までのテレンとは違った顔だなと思います。そして、特筆すべきはベース。サビの初め3小節分を4音で演奏しているのですが、それが何ともいえない緊張感を出しています。動くときは、1音1音が滑らかにつながっていて不自然さを感じさせない非常にスムーズなフィンガリングだなと思いました。モコモコしたサウンドですが、イナタイ成分も含んでいて聴き心地がとてもよかったです。

4.at(liberty)

「自由」を歌った曲。ライナーノーツによれば、freeではなくlibertyに置き換えたのはルールや不自由といったものから勝ち取る自由について歌ったからかな。

ボーカル松本大の悲痛ともいえるサビの声に衝撃を受けました。先に挙げたinnocenceを超えるくらいの叫び。緑閃光しか知らなければこの声には出会えなかったでしょう。LAMP IN TERRENのロックバンドらしさを最も感じた1曲でした。

そして、この曲もベースの音が秀逸。地中を這って進むようなオーバードライブのゴリゴリ感。正直、大好物です(笑)

5.eve

クリスマスイヴのように、「eve」は前日を表します。「明日が今日より素晴らしい日であると仮定するなら、今日という日は明日から見れば前日である」という発想で作られた曲だそうです。前向きになれます。

とはいっても、希望だけの歌というわけでもなく、個人的な感想でいえば悲しかったことがあったということを含めて今までを受け入れて明日へ向かっていく、そんな歌に感じました。振り返ることが、明日へ向かうために必要な準備運動みたいなものなんだなあと。

初めはキーボードの優しいサウンドに包まれて、穏やかな旋律が流れた後、2番から少しずつロックの風味が増してきて、最後は8ビートで疾走して、初めのメロディに戻る。過去を振り返るとともに楽しかった、悲しかったといった様々な感情が溢れ出して吐き出すように、全てを置き去るかのように全力で走り、息切れして立ち止まったそこがまた新しいスタート=春という情景、動きが音楽から想像できる。こんなにも歌詞とサウンドが絶妙にマッチした曲に会えたのは久しぶりです。

あなたとテレンが出会う「きっかけ」になる1枚

いかがだったでしょうか。4人体制になって初めてのアルバムということもあるでしょうが、とにかく今までのテレンとは一線を画すアルバムになったということは断言できます。いまいちぱっとしないサウンドが1つの美点でもありましたが、今アルバムによって、はっきりとテレンとしての個性を出すことができています。

LAMP IN TERRENはどんなバンドなのか。この1枚を聴けばすぐにわかるはず。

 

 

コメント