THE PINBALLS「時の肋骨」でおすすめしたい5曲。

BEST 5シリーズ

待っていた、ただその一言。

本日も創音においでいただき、ありがとうございます。
On-Suke(0n_Suke)です。

ついに来ましたよ。THE PINBALLSのメジャー初フルアルバム「時の肋骨」のリリースが。

シングル「Primal Three」から約半年後のリリース。そのPrimal Three収録曲は一切入れないという思い切った選択。全12曲、それらすべてが最新曲となっており、ファンとしては垂涎ものです。

変わらない荒ぶりと、貪欲に広げたジャンルの幅

ガレージロック全開の荒いギターサウンドは今回も健在。中屋さん(Gt.)のアドリブじみたギタープレイには、本当に魅了されます。

喉悪くしない?と聴いているこちらが心配するレベルの古川さんのシャウトも盛りだくさんです。今までのファンも安心してください。

しかし、どちらかといえばホットでダークな曲が多かったピンズとしては珍しく、とてつもなく軽快な曲もいくつか収録されています。

軽い足取りから香るカントリーの香り

7曲目のヤンシュヴァイクマイエルの休日は、ゆる〜いシャッフルビートがビートルズを彷彿とさせます。

5曲目のBEAUTIFUL DAYは、リズムだけでなく、ボーカルのマイキング?ヴォイシング?エフェクト?がもうまさにビートルズそのもの。昔、新宿のマクドナルドでこんな感じの曲がよく流れていたのを覚えています(笑)

また、8曲目の風見鶏の髪飾りは、バイオリンなどが加わって爽やかなテキサスカントリーに仕上がっています。今までのピンズにはない、新たなジャンルへ挑戦した意欲が随所から伝わって来ます。

それでいながら、荒々しいギターが一切邪魔になっていないのがこれまた秀逸です。一見無秩序に感じられるリフですが、自分の出どころをきちんとわきまえている、紳士のような礼儀正しささえ感じてしまうほどの見事な構成です。

これが全くビートルズと同じようなサウンドだったら、特に驚きも何もない模倣作に落ち着いていたところでしょうが、ピンズのアイデンティティでもある、感情全部乗せギターの音をあえて入れることで、新鮮な驚きをもたらしているなと思います。

個人的におすすめしたい5曲。

ではでは、今アルバム12曲の中から特におすすめしたい5曲をご紹介します。

1.アダムの肋骨

THE PINBALLS「アダムの肋骨」(Official Music Video)

今回のリード曲。

初っ端から荒れ狂うギターが期待を裏切りません。

「レッキングオーダー」のところがサビだと思っていたら、それを上回るサビがやってきて、古川さんのシャウトがよく映えています。

間奏のベースソロもダークで官能的。PVの姿勢がセクシーでたまりません。

2.水兵と黒い犬

アダムの肋骨で生じた興奮がこの曲によってさらに渦巻いていきます。

初めに奏でられるメジャーコードで明るい雰囲気を作っていますが、ものの10秒で殴りこんでくるリードギターによって見事にぶち壊されます。僕はここにある種のカタルシスを感じました(笑)

軽やかな裏打ちビートとは対照的に、ベースと一緒にパワーコードで進んでいくバッキングギターが重厚さを演出しています。

この時点で十分テンションはMAXなのですが、ここで満足させないのがピンズ流。

次の曲「DAWN」も疾走感溢れるナンバーで、リスナーの情熱をどこまでも昂ぶらせていきます。擬似的なライブを体験している感覚すら覚えます。

3.失われた宇宙

これは歌詞がすてきだなと。

個人的には「大切なもの(=宇宙)をなくしてしまって、時が止まったような喪失感を感じながらも、世界は進み、変わり続けている」ことを歌っているのかなと思いました。

本当に大切なものって意外と身近にあるもので、それこそポケットにいつも入れているようなものだけど、そこに入れていることを忘れてしまっていつの間にか失くしてしまうもの。

ピンズも何かそんなものがあったのでしょうかね。なかなか売れない時代が長かったバンドだからこそ、説得力を感じました。

どこか寂しさを感じさせるボーカルの歌い方も、曲とマッチしていてよかったです。

4.CRACK

THE PINBALLS「CRACK」(Official Music Video)

言葉汚くて申し訳ないんですけど、

すみません。濡れる。

アダムの肋骨から始まり、4曲目の失われた宇宙まで激走ロックが続き、少し聞きづかれた耳をBEAUTIFUL DAYで休め、休め…たのにすぐにまた激走ロック!笑

泥臭さ全開のナンバー。理性なんて簡単に振り解いてしまうほどの音の洪水が、聴く人の脳を侵食し、トランス状態へ引きずり込んでいきます。

この曲の特筆すべきポイントは、間奏のギターとベースのユニゾン

ここのギターはバッキングが弾くことで、リードギターが裏で自由に暴れ回っています。もうどうにでもなれ感が半端ない。これぞピンズ!

5.DUSK

意味は「夕暮れ」。「一番優しい曲にしたい」と、古川さんがインタビューで答えていました。

DAWNで書かれていた「湖」や「風」がここでも登場。

一日が終わる寂しさが、サビのやるせなさが伝わる歌い方に詰め込まれています。

「ああ、今日も終わっちゃったなあ…」って、後悔しているわけではないんだけど、ただただ肩を落として呆然と河川敷とかから夕陽を眺めている情景が思い浮かびました。

最近は寝る前にこの曲を聴くことが多いです。

だまされたと思って30分ちょっと聴いてみて

メジャーデビューすると、業界の事情とかで作風が変わってしまうという話はよく聞きますが、THE PINBALLSにはそのような心配は杞憂でした。

今までファンが好んで来た泥臭さとファンタジックな歌詞はそのままでありながら、新しい要素を取り入れてさらにクオリティーを上げています。

12曲というボリュームでありながら、合計時間はなんと約34分!笑

24時間の時の流れが30分ちょっとの世界に濃縮されているのは、ちょっとしたタイムスリップのようにも思えますね。

一周聴き終わってヘッドホンをはずしたとき、きっとあなたは新しい1日がやってきたと錯覚することでしょう。

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