それは、まるで水面の揺らぎ。
本日も創音においでいただき、ありがとうございます。
On-Suke(0n_Suke)です。
宅録中心の生活なので、専ら使うペダルがFirehawk FXとなってしまいましたが、それでもやはりコンパクトエフェクターの魅力は捨てがたいものです。
そんな中、ずっと気になっていた新鋭ブランド、One Controlからモジュレーション(揺れ)系ペダル、「Dimension Blue Monger」が登場していたので、そのサウンドを聴いてみたところ、これが自分の求めていた、最も自然なコーラスだと瞬時に感じ取ることができました。
今回は、このDimension Blue Mongerの特徴をお伝えしたいと思います。
コンパクト・良質を両立させた新進気鋭ブランド
One Controlは、2010年に設立された比較的新しいエフェクターブランドです。僕が最初にこのブランドを見かけたのは、エフェクターではなくスイッチャーでしたね。価格の割にとても多機能なスイッチャーを作っていて、当時話題になった記憶があります。
例えば、Chamaeleo Tail Loop MKII。
5プログラム×3バンク、4シリーズループ、1パラレルループという充実した機能を有しながら、実勢価格で3万にも満たない価格の安さ、そして奥行54mmというボードを占有することのないコンパクトなボディ。これには大変驚きました。
2011年、One ControlにMad ProffesorやBearfootなどの製品設計・開発に携わっている<strong>BJF</strong>ことBjorn Juhlが製品開発に参加しました。BJFの協力のもと、数々の優秀なペダルが生まれ、One Controlの名声はたちまち世間に広まりました。
One ControlのBJFペダルに共通するのは、コンパクトなボディ。
どれも47mm×100mm×48mmという、極小サイズ。
上の画像でどれくらい小さいかお分かりいただけるでしょう。9V電池がちょうど入るくらいですよ。これなら、幅をとらないのでボードのレイアウトがしやすいですね。
ただ、これだけ小さいエフェクターは、あまり良い音がしないものが多いです。しかし、以前の記事でBJFシリーズの「Sonic Blue Twanger」を挙げましたが、この小さい筐体のどこからこんな音が生まれるのかと思うほど、音質もかなり良いです。国内外の著名なアーティストも数多く使用しており、お墨付きです。
これは「コーラス」なのか
では、いよいよDimension Blue Mongerについて紹介したいと思います。
コーラスとは何ぞや
皆さんコーラスというとまず浮かび上がってくるのはBOSSのコーラスペダルだと思います。
コーラスっていうと、この音ですよね。爽やかさが付加されたような透明サウンドから、ちょっとスペーシーな音まで変化の幅が広いです。ちなみに動画のCE-2Wは、名器CE-1とCE-2のサウンドを復刻した、今年発売の最新機です。コーラスペダルの元祖だけあって、やはりきれいな音ですね。
ただ、僕はこのコーラスの音があまり好きではありませんでした。というのも、コーラスを踏むと一気に音のキャラクターが変わる感じがしたので、使いどころがわからなかったのです。かといって薄くかけても変化がわかりにくいので、なら最初から使わなきゃいいじゃんって感じで今までほとんどコーラスを使ってきませんでした。
あまりにも自然な変化
では、このDimension Blue Mongerはどうでしょう。動画でどうぞ。
まず、第一に思ったのが、ごく自然に原音と混ざっているなということ。これだけ自然に変わるコーラスペダルって今まであったでしょうか?これはまさしく、「水の揺らぎ」と形容できる音でしょう。一見すれば何も変わっていないけれど、よく見ると静かに水面が波打っている、そんな水の波紋がイメージできます。
というよりこれはコーラスなのか?One Control自身も、このペダルの特徴として
コーラスとフランジャーの中間的な、全く新しいモジュレーション
と謳っていて、決してコーラスというジャンルに当てはめて作ってはいないのです。
揺らぎ方が細かいからでしょうか。でも、だからといって一般のコーラスペダルでDEPTHやSPEEDを上げまくったときの狂ったサウンドでもない、非常に汎用性の高いペダルだと思います。動画の1:23から始まるNorwegian Woodの音はとても絶妙です。水中で水面を見ながら聴いている自分が想像できる、そんなクリアさがあります。
歪んだ中で使うと、透明さが増すよりも、立体感が増す印象があります。まさに、2人のプレイヤーが同時に同じリフを演奏して、微妙なピッチのズレが生じている感じ。これも原音をぶち壊すことなく、自然に乗っかっているサウンドがしますね。どこまでも「自然」。
つまみは音色の明暗を調整する「Colour」と、原音とエフェクト音のバランスを調整する「Mix」、そして、特徴的な「Complexity」の3つ。Complexityは一般的に言うSPEEDやDEPTHを一括で変化させ、複雑なモジュレーション効果を生み出すことができます。このつまみの調節が肝になるでしょうね。
モジュレーション系の新たな局面を切り開くペダル
限界といえるくらいの限りなくコンパクトなボディに求めやすい価格。そしてこの良質かつ新しいサウンド。One Controlはどこまでペダル界の常識を覆していくのでしょう。もうDimension Blue Mongerのために新しいサウンドジャンルを作っても良いくらいですよね。どこまでも自然で、濁らない。BJFが開発中に使った「Watery」という言葉が、如実に音に表れています。みんなが使っているペダルは嫌だけど良い音が欲しいという方にはぴったりではないでしょうか。
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