THE PINBALLSの「PLANET GO ROUND」を2週間聴き続けた感想。

MUSIC

目覚めの1杯ならぬ1枚にどうぞ。

本日も創音においでいただき、ありがとうございます。
On-Suke(0n_Suke)です。

THE PINBALLSが2016年11月16日(水)にミニアルバム「PLANET GO ROUND」をリリースしてから2週間が経ちました。リリースした日にiTunesからDLし(CDで買わなくてすみません…地方だからショップに売ってないのです。)、それから聴かない日は1日もないくらい絶賛ヘビロテ中です。

おそらく軽く30周は超えていると思います(笑)

アルバム全体のサウンドインプレッション

実は発売前からトレーラー映像が公開されていまして、曲の大体は知ることができました。

THE PINBALLS 5th Mini Album『PLANET GO ROUND』Trailer

こうして一部ずつ聴くと、どうしても「似た感じだな」と思ってしまいます。6.と7.を除き、ハイテンポな曲が多くを占め、しかも音のキャラクターもかなり同じような感じだからではないかと思うのです。それが悪いということでは全くないし、むしろギターの音作りは個人的にかなり好きなのでうれしいのですが、これは全てを最後まで聴くまではきちんとした感想はもてないと思ったのです。

そして、2週間ぶっ通しで聴き続けた結果としては、やはり今回のアルバムもとても良いですよ。ギターの自由プレイはもちろん健在ですが、個人的に最も印象的だったのはベースが音色にしてもフレーズにしてもかなり攻撃的になったこと。全体的にかなりゴリゴリどころかギャリギャリですよ。1曲目の「イーブルスター」から裏メロのようなフレーズを奏で、「欠ける月ワンダーランド」ではコッテコテのベースソロ!ひたすらリズムを刻む職人的なイメージがありましたが、今回その殻を思い切りぶちやぶったような感じがしました。

各曲の感想。

1.イーブルスター

歌が入っていながら演奏時間1分37秒という激短なトラック。カラッと乾いたようなギターバッキングから始まり、ハット裏打ちの4ビートを刻むアップテンポ曲なです。

1分台の曲とは思えないほど密度が濃いと思いました。そして、この曲でテンションをローから一気にハイに上げることができる、いわばライブが始まる前の準備体操みたいな曲。これを演奏した次の曲からは十分テンションMAXでライブに望むことができるでしょう(笑)ラストサビで気だるげに歌うVO.の横から入ってくるシャウト気味た声が、聴く人の気分を高揚させる役割をしっかり果たしてくれます。

2.くたばれ専制君主

carrace

トレーラーだとアップテンポな感じがしますが、実は最初、かなりローテンポです。象がのっそり歩くような重たさを感じるビートに乗せて、歌に噛み合わせるようにギターが入ってくる感じがものすごく好きです。多分フロントポジションだと思うんですが、いつものジャキジャキとは微妙に違う、のどがひりつくような歪み方もこれまたいいなと。

そしていきなり曲が終わったと思えば、そこからハイテンポに切り替わるのですよ。「3, 2, 1, Go.」のアナウンスでいきなりぶっ放すレーシングカーっていう表現が似合うと思います。ぶっ放したらもう、オーディエンスはモッシュ1択となるでしょう(笑)

また、今回のアルバムの中で、最も歌詞が謎過ぎて気になりました。

新しい王様が 踊り始めるよ

They belong to you
belong to you
腕が百本あって 優しくて
ふわふわの毛皮揺らして 踊りだす (THE PINBALLS 「くたばれ専制君主」より)

新しい王様一体何者www

3.欠ける月ワンダーランド

wonderland

1.と2.で作った高揚感を保ったまま突っ込む、これまたハイテンポな曲。そういえば、この曲を含めて今回は7曲中3曲シャッフルビートになっていますね。

3.での一押しポイントは、先ほども書きましたがベースソロ!特段複雑なプレイをしているわけではないのですが、このすべてを削るどころか抉り取っていくような、危険な刃物を連想させる攻撃的なサウンドは激アツでした。ギターが聴く者すべてを焼き尽くすような熱さをもつ「炎撃」ならば、このベースの音は聴く者すべてをしびれさせる「雷撃」のような音ですね。なんか中2病のような表現ですみませんw

4.朝焼けの亡霊

dawn

過去曲の「way of 春風」などを彷彿とさせるような爽やかナンバー。明るいだけではない未来を知り、こちらの世界へと誘う亡霊と、幸せばかりではない世界が待っていることを覚悟しながらも、まだ見ぬ未来を見ようと進む「僕」の対話のような歌詞。

勝手な憶測でしかありませんが、亡霊が誘う世界というのは「辛さ、苦しさを含んだ現実から目を背ける人生」ではないかなと思うのです。そして、亡霊の誘いを断る「僕」は、未来の世界を自分の目に焼き付け、いつか亡霊に「未来はそんなに暗いものではなかったよ。」と話すのでしょうか。

切なさを感じさせるメロディに乗りながら、まるでショートムービーを観ているような感覚さえわいてくる1曲でした。

5.毒蛇のロックンロール

THE PINBALLS / 毒蛇のロックンロール

今アルバムのリードトラックともいえる曲。4.で一息ついたかと思えばまたそれこそ「全身全霊」のロックンロールです。インタビューによれば、「欠けた人」のことを歌っているとのこと。「腹から出す」も、「魂から出す」という表現が似合いそうなVo.のサビの声。ピンズのウリはやっぱりこの声だよ。それを再確認させてくれるようなナンバーです。

それにしても、MVの大サビでドラッグクイーンを目にしたときの古川さん、何を考えている顔なんでしょうね。僕的には「嘘やろ…」っていうセリフが似合っていると思います(笑)

6.道化師のバラード

piero

まず、サウンドについては、明るいんだけど、どこか一抹の不安をはらんでいるような、イントロのリフが神がかっているなと。そして、こんなにバラードなのに、ベースはどうしてこんなにも歪んでいるのだろうと。それが全く邪魔になっておらず、むしろプラスになっているのがまた不思議。

でも、僕はこの曲では歌詞の方がとても秀逸だと思いました。よくピエロ、道化師は「笑い顔を作り続けていたら、いつのまにか本当の笑顔をなくしてしまった」といったような歌詞で使われます。これもまた憶測でしかないのですが、この曲もそれに似た比喩で使われている気がします。文字にして読んでみるとなんてあたたかい歌なんだろうと思えるはずです。歌詞を全コピして貼りたいくらいなんですけどそれはご法度なので、ぜひ歌詞サイトで読んでみてください。昔より自分らしく振舞えなくなっている現代に生きる人全てに読んでほしい。

7.あなたが眠る惑星

planet

NHKさん、これ「みんなのうた」で流しましょう。ぜひ。

ピンズ式応援歌、またはラブソング。攻撃的なサウンドは変わらないんだけど、ピンズが良い意味で温かくなったなと思える曲です。

「道化師のバラード」もそうだったんですが、なんでこんなに嗄れ声なのに心に感じるものはとても温かいんでしょう。ほっこりするようなミドルテンポのリズムに合わせて、たくさんの人と手をつないで、一緒に前後にルンルンと腕を振って歌いたくなる、そして、人を好きになりたくなる。本当、子どもにもぜひ聴いてほしい歌詞なんですよ。

一人きりでいる時は 一人きりだと思う時は
忘れないであなたを
愛する人がいる事を (THE PINBALLS 「あなたが眠る惑星」より)

最近僕は、これを聴くことで「今日も頑張ろう」と元気を出しています。なんていうのかな、「歌」じゃないんですよね。もう、「メッセージ」。「聴かせたい」というよりは「伝えたい」。古川さんの声ってそんな印象なんですよ。だから、音に乗せた言葉一つ一つが胸に刺さるんですよね。このアルバムの中で一番好きな曲です。

朝に1周して聴いてもらいたい

今回のミニアルバム、「PLANET GO ROUND」は、ぜひ朝に聴くことをおすすめします。「イーブルスター」で寝ぼけた脳を覚まし、「くたばれ専制君主」「欠ける月ワンダーランド」でテンションをぐいっと上げて完全に覚醒する。そして「朝焼けの亡霊」で朝食タイム。「毒蛇のロックンロール」のスピードに乗って一気に朝の支度を済まし、「道化師のバラード」で世辞や社交辞令を言う毎日で荒んだ心を癒し、「あなたが眠る惑星」で今日も頑張るぞとスキップで家を出る。

完璧じゃないですか?笑

少し大げさだと思いますし、「毒蛇のロックンロール」の時間だけで支度を済ますことなんて不可能ですが、このミニアルバムを1周して聴くことで、気持ちを元気にしてくれることは確かです。さらに進化した攻撃的なサウンドと、歌詞に込めた温かさをぜひ聴いて感じ取ってもらいたいと思います。

 

コメント

  1. […] さて、a flood of circleが2017年1月18日に発売した7枚目のアルバム、NEW TRIBEが発売してからおよそ3週間が経ちました。THE PINBALLSのミニアルバムが発売した時のように、もうほぼ毎日1周聴いている状態です。ええ、それくらい良作でした。 とは言いつつも、今はまさかの宇多田ヒカルを聴きながらこの記事を書いています(笑) […]