真空管アンプとトランジスタアンプ、その長所と短所とは?

楽器

ギタリストにとっては、永遠のテーマ。

本日も創音においでいただき、ありがとうございます。
On-Sukeです。

 

さて、今回はギタリストなら誰でも抱えるであろう、「真空管アンプとトランジスタアンプ、どっちが良いの?」という疑問について、それぞれのタイプの長所・短所を踏まえつつ、考えてみたいと思います。

真空管アンプ

長所

真空管アンプは、チューブアンプとも呼ばれ、アンプ部分に真空管とよばれるパーツが搭載されたアンプを指します。

Marshallアンプが代表的なイメージでしょう。JCM-800とか2000とかの違いはあるものの、Marshall製のアンプはライブハウスやスタジオには必ずと言っていいほど置かれていますね。

真空管の構造的なところはGoogle先生におまかせするとして、真空管を搭載することのメリットとして第一に挙げられるのは、「人の耳にとって自然な音になること」です。

ギターから送られた信号が真空管を通ると、特定の音の周波数だけをそぎ落とされます。そして、自然界で鳴る音にもよく含まれている周波数だけが残るので、聴き心地が良く感じられるそうです。よく真空管アンプが「あたたかみのある音」と言われるのは、言い換えれば人が聞きなれた周波数で構成された音だからと言えますね。

Guns N' Roses / Nightrain Guitar Full Cover w/ Marshall JVM210H

もうレスポールにMarshallの組み合わせはロックにおいて王道以外の何物でもないですね。みなさんも「エレキギターの音」っていったら、このサウンドを想像するのではないでしょうか。

短所

短所としては、まずその扱いにくさ。

真空管はガラス容器でできているものが多く、慎重に運ばなければ簡単に破損します。しかも、慎重に運ばなければならないにも関わらず、だいたいの真空管アンプは大きくて重いのでかなりの注意を要します。

もう一つの大きな短所は、個体によってサウンドに大きな差が生じることがあること。

真空管は置かれた環境の影響をとても受けやすく、劣化による変化も大きいです。ですから、Aスタジオの真空管アンプで作った音で、Bスタジオの同じ真空管アンプを使って演奏したらなぜかサウンドが違ったなんてことがよくあります。

同個体でも温度による影響でサウンドが変化してしまうということもあるそうで、アンプそのものというよりは、この真空管の管理がとても面倒なのです。

また、真空管アンプは大体が大出力で、あのナチュラルな歪みを得るにはかなりの音量を出さなければなりません。よって、日本の住宅事情から考えて自宅練習に使うのはほぼ不可能です。

中には、Fenderの「Blues Junior III」やBlackstarの「HT-1R」などの低出力のものもありますので、自宅でもチューブアンプを使いたいという方はそれらから選んでみてはどうでしょうか。

Fender Blues Junior Ⅲ。出力は15W。

Fender Blues Junior Ⅲ。出力は15W。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トランジスタアンプ

長所

トランジスタアンプは別名ソリッドステートアンプとも呼ばれ、真空管ではなくトランジスタ回路を搭載したアンプです。これも構造的なところはGoogle先生n(ry
トランジスタアンプといえば、真っ先に浮かび上がるのはRolandのJC-120。これも、スタジオならどこでも置いてある名器ですね。

スタジオ機材のド定番、JC-120。

スタジオ機材のド定番、JC-120。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トランジスタアンプの最大のメリットは、耐久性が高いこと。見てください、JC-120の外郭。それは年季の入ったナイスガイのごとく頑丈であることがひしひしと伝わってきませんか?笑

ただ、ここでいう耐久性とはただ筐体の堅牢性だけを指すのではなく、真空管アンプと比べて環境の変化にも強いので、劣化や音の変化がとても小さいです。よって、例えばAスタジオのJCで音を作れば、他のどこのスタジオのJCを使っても同じサウンドを出せるというメリットがあります。

プロでもない限り、マイアンプを担いでスタジオに入る人はほとんどいないでしょうから、この「どこでも同じサウンド」というのはとても魅力的ではないでしょうか。

短所

よくトランジスタアンプの音は「固い」「味気がない、人間味がない」と言われます。

それは、トランジスタ回路を通しても真空管のようにそぎ落とされる周波数が少ないため、信号そのままの音が出力されるからです。これによって、音の中に聴きなれない周波数も含まれて、人の耳には不自然に感じてしまうのです。トランジスタアンプがときどき「石アンプ」と揶揄されるのはこれに起因しています。

ですが、そぎ落とされる周波数が少ないとは、つまり信号の劣化が小さいということで、実はトランジスタアンプの方がギターの音を素直に出力しているのです。よって、エフェクターの特性をフルに生かすことができます。特に、コーラスやディレイといった揺れ系、残響系のエフェクターとの相性は最高です。

真空管アンプにつなぐと、どうしてもアンプの特性があるため、エフェクター本来の持ち味を発揮するのは難しいです。歪み系の信号はMarshall、揺れ系の信号はJCにつなぐなど、2台のアンプを使い分けているプレイヤーもいるほどです。

また、トランジスタアンプは安価なものが多く、初心者用セットのアンプなどにもよく登場します。自宅練習にはもってこいなアンプでもあるのですね。

真空管アンプで有名なメーカーでもトランジスタアンプを製造しています。

真空管アンプで有名なメーカーでもトランジスタアンプを製造しています。

 

 

 

 

 

 

 

どちらが良いかはあなたの使い方次第

ありきたりな結論で申し訳ないのですが、結局どちらも一長一短で、一概にこっちが良いと決めつけることはできません。

実際、僕はサークル時代にはBOSSのエフェクターを中心にコンパクトペダルを使用していましたが、基本的にはアンプの方で音作りをしていたので、真空管アンプを使用していました。しかし、大学を卒業した後、Firehawk FXがメインとなり、マルチエフェクターで作った音をそのまま出力したかったのでJCを使うようになりました。

他にも、アンプのドライブで歪みサウンドを完成させたいからチューブアンプを使うとか、あるアンプをモデリングしたペダルの持ち味をそのまま生かすためにJCを使うとか、皆さんがどんな音を何で作りたいと考えているのかで選択は分かれると思うのです。今回の記事が皆さんのアンプ選びの一助となれば、幸いです。

 

 

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